手元に余っている6R15用の香箱車に7S26用のゼンマイを入れたらNH35用の香箱車として使えるのではと思いつき実践してみることにしました。
6R15Cの香箱車と7S26用の主ゼンマイ
用意したのは6R15C用の香箱車と7S26用として売られていた主ゼンマイ。それと安全のため今回は保護メガネを着用して作業にあたります。
6R15CへNH35Aや4R35Bの香箱車を入れるとサイズ的には適合するのが確認できています。
ですので逆にNH35Aに6R15Cの香箱車を入れることは可能ですが、中のゼンマイが違うのでそのままでは使えそうにありません。

6R15Cの香箱車を開けたところ
そこでNH35Aとスペックの近い7S26用のゼンマイならNH35Aに使えるのではと考えた次第です。画像は6R15Cのゼンマイですが黒く見えるのは指定外のモリブデングリスを入れ過ぎたためです。
香箱車のゼンマイを入れ替え

中心部分からゼンマイを取り出す
ゼンマイの入れ替えは最初に香箱車から既存のゼンマイを取り出します。

弾けないよう押さえながら進める
香箱車をあけた後、内側に巻かれたゼンマイを指で押さえながら慎重に取り出していきます。

途中で反りが変わる

後半になるとS字の形状が確認できる

香箱車から出した6R15Cのゼンマイ
ゼンマイがすべて取り出せたら、空になった歯車に新しいゼンマイを入れます。
香箱車の中に残っているモリブデングリスは拭き取らずに残しておく程度が丁度よさそうです。

新しいゼンマイを上から押し込む要領?
ゼンマイは平座金状の枠に入っていて、ゼンマイの巻き方向を合わせて外側先端の折り返しがある部分から入れていくらしいです。

手作業で押し込んだゼンマイ
しかし、かなり強力に押さえながら入れないと上手く行かないようで、最終的には全部ほどいてから指で入れることになりました。

6R15の香箱真は4R35や7S26より細い
ゼンマイが香箱車に納まったあと香箱真を入れようと思ったら、ゼンマイの中心に整形された輪が大きすぎて6R15C用の香箱真にある突起がかかりません。

この部分が6R15の香箱真には太すぎる
このままでは組み立ててもゼンマイを巻けないので、ゼンマイの中心部分をピンセットで細く整形し直すことにしました。
ここは下手にいじるとゼンマイ切れの原因になる部分ですが、このままでは使えないので仕方ありません。
そしてなんとか香箱真を入れることができ、あとはグリスを少量だけ塗って蓋を閉じることにします。
これで中のゼンマイは7S26用でNH35にも使えそうな香箱車の完成です。
7S26のゼンマイでNH35Aを動かす
組み立てた香箱車を早速NH35Aセットして機械を組み立てます。
テンプを入れたところでタイムグラファーにセットしてみることに。
どうでしょう。趣味で組んだにしてはいい感じの振り角が出てるような気がしないでしょうか。

テンプも7S26A用に交換
なお、今回はテンプも受ごと7S26A用の物を洗浄と注油を済ませて使っています。
過去に時計から取り出した6R15Cムーブメントは、メンテナンスに使うパーツを扱いやすいNH35用で代用させたいといった理由で香箱車も4R35用やNH35用のものへ交換(実用的な精度は出せていない)しています。
そのせいで部品取りとなってしまっていたNH35が7S26のパーツでなんとか復活させることができそうです。
適合性の判断はしばらく様子を見てからになりますが、この程度の作業でNH35用の香箱車が準備できるのであれば趣味用としては願ったり叶ったり。
なお、7S26A(B)の香箱車は香箱真の地板側のホゾのサイズが太いので、そのままNH35A(4R35B)用の香箱車としては使用できない(穴石に入らない)ので注意が必要です。