今持っている時計の中から、一生モノの腕時計として1本選ぶとすればセイコーのSARB035がそれにあたります。
この先、誤解のないよう断っておかなければならないのは、今後、自分が高級時計を手にすることを否定するものではなく、一生モノの時計についての定義は将来的に変わるかも知れないと言うこと。
一生モノの時計に求める条件
趣味で時計の機械を分解して楽しんできた私が一生モノの時計に求める条件は、話題性がある時計であること、長く使えること、オリジナル性を持っていることの3つです。
これら一生モノの時計に求める条件の意味やSARB035が如何にこの定義を満たしているかについて少し書かせていただくことにします。
話題性のある時計であること
一生モノの時計に求める条件として1番最初にあげた条件は、持ち主にとっていかに話題性をもった時計であるかということ。
つまり、その時計について他人に話せる話題をどれだけもっているか、また会話に挟み込めるようなエピソードがどれだけあるかです。
私の持っているSARB035は元は黒文字版のSARB033だったものを、たまたまフリマアプリで手に入れた白文字盤に入れ替え、その後針やガラスパキンの色も揃えて035化したものです。
黒文字版の033は販売数としては035を上回っていたかもしれませんが、033ユーザーでも一度035の実物を見ればその文字盤のカラーに惹かれるのではと思います。
またオークションなどでも白文字盤のSARB035は033と同等またはそれ以上かと思えるほどの人気ぶりです。
長く使えること

中の機械を6R15からダウングレード
このサイトで度々取り上げているカスタム仕様のSARB035はムーブメントを6R15CからNH35Aに変更していて、実質ダウングレードになる機械の入れ替えですが、その分自分で手軽にOHで気軽さを備えています。
NH35Aについては自分で部品取り用の機械をいくつか確保できているので、今後もメンテナンスを自分で行うことによって長く使える腕時計になっています。
もっとも最近では高級時計でも公表している部品の保有年数を過ぎても修理が利くケースがあるようですが、すべてのモデルでそれが保証されているわけではないので、自分で修理メンテナンスが可能な時計を実現させることは時計好きにとって重要なことと言えるでしょう。
オリジナル性があること
最後、3つ目のオリジナル性についてはSARB035のムーブメントをNH35に入れ替える際に、純正の金属スペーサーが使用できなかったため、自分で図面を起こしパーツを外注制作に頼んだ経緯があります。
この作成した金属スペーサーは、一見ただの平座金ですが自分の機械的知識も活かせたオリジナル性の高いもので、手間をかけているという点では1つ目の条件としている話題性も大きく担保してくれる物です。
一生モノとしての機械式時計SARB035
このように私が一生モノに選ぶSARB035は、話題性やそれに絡むエピソードも豊富で自分でメンテナンスしながら長く使うことができ、隠れた地味な部分でオリジナル性を秘めている機械式時計です。
この大事な時計は、少しでも離れた場所でも旅行に出かける際は持ち出さないことにしています。
私が地味に深くカスタムしたSARB035(もとは033)はうっかり無くしてしまったときに替えが利かない1点物。
SARB035、033の中古価格は未だに落ち着く様子がなく当時の定価を上回る値段で取り引きされることが珍しくありません。
この記事を書いている直近では、2025年の2月にオークションでSARB035の未使用品が10万円超えの落札額で取り引きされていました。
もちろん、これはレアなケースで普通に使い込まれた個体なら当時の定価と同価格、運が良ければそれよりも安く入手は可能です。
そんな話題も軽いエピソードの一つにはなりそうですし、SARB033、035は時代を代表する洒落た人気のビジネスウォッチであり続けることは間違いなさそうです。