手巻き機能の付いた自動巻き時計はあまり手巻きしないほうが良いという話があります。
理由は、内部の歯車を磨耗させてしまうからとか聞きますが、実際のところ数本持ってる時計を使い回したいときなどは、時計を振るのではなく竜頭を回してガシガシ手巻きしたくはないでしょうか。
そんな気持ちが積み重なり自動巻きの機能を自分で解除してみることになりました。
※注意:腕時計の機械に手を加える改造はメーカー保証や有償修理などが受けられなくなるばかりでなく故障の原因にもなりますのでお勧めしているものではありません。
巻きたい気持ち
自動巻き時計は「手巻きしないほうが良い」と言う話。
あくまでも「できるだけ手で巻かない方がいい」という意味で、やっちゃダメということではないようです。
メーカーが手巻き付いてますと言って商品化しているのですから、手で少し巻いたくらいで時計が壊れるような貧弱な仕組みではないでしょう。
しかし、手巻きしないほうがいいと言われると、やはり控えめに手で巻く場面というのは少なくなってしまうものです。
手巻き付き自動巻き時計は、手巻き付きと信じて買った時計なんだけど、思い切り手では巻けない時計になってしまっているのです。
こうなると、時計好きの私などは巻けるだけ自分で巻くことが出来る時計というのが欲しくなります。
本当の手巻きなどは、完全に巻き上げるとそれ以上巻けなくなるので思う存分ということはありえないのですが、それでもゼンマイを巻くときは時計を振るものでなく竜頭でクリクリやるほうがしっくりくるし絵にもなることでしょう。
自動巻きのローターを外す
そんな訳で今回のターゲットになったのは、SEIKOの4R35搭載の SRPC19K1 (海外モデル)。
ローターが残っている状態では、このような見た目です。
まさにローターがムーブメントの外観そのものになってしまっています。
ローター以外に外すパーツは、マジックレバーと伝え車。
組み立て難易度の高い部分まで分解する必要がありました。
画像の右側3つが外したパーツです。
マジックレバーは手巻き時に直接負担がかかる部品ですし、ローターを外してしまえば役に立たないものなので伝え車と一緒に外すことに。
これで手巻きをしてもパーツの磨耗が極端に進む心配はなくなりました。
本当の手巻きと異なる部分
ローターを外した手巻き機能付き自動巻き時計は、一見手巻き時計化されたかのように思いがちですが、ローターを外しただけでは手巻きオンリー時計になりきれていない部分があります。
元からの手巻きの場合、ゼンマイを完全に巻ききったときに巻き止まりというのがありますが、自動巻き時計にはこのゼンマイを巻ききったらそれ以上巻けなくなる巻き止まりというのがないとのこと。
ローターを外しただけの自動巻き時計を手でいくら巻き上げてもゼンマイを巻ききった感触というのがなく、中で巻ききられたゼンマイが空回りする機能が働いています。
自動巻きのムーブメントは、手巻きを繰り返し完全に巻き上げる度に内部でゼンマイのスライドが繰り返されるのですが、これは、ローターで巻き上げられた場合を想定しているはず。
だとすると、この空回りを無意識にでも繰り返すとゼンマイと香箱などのパーツをやはり磨耗させることが考えられそうです。
最終的にどこかに負担がかかるのは避けられないようですが、仕組みが分かっていれば極端に寿命を減らすこともないのではと楽観視しています。
しばらくは、裏蓋のガラスから見える機械と竜頭の巻き心地の時間を楽しめそうです。
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