以前にも取り上げたことがあったNH35ムーブメント用として販売されている36mmの時計ケース。
これを使ってカスタム時計を制作するときムーブメントに付属する巻き芯をケースにあう長さにカットして使う必要があります。
大きすぎない重すぎない36mmケース
ダイバーズ以外の普通の時計でもケースサイズが40mmを超えるものが定番化してしまっていますが、この単体で売られている36mmケースは手ごろ感があり見た目もまあまあではと気に入っています。
ほぼ見た目が同じのケースが別な販売業者からそれぞれ売られていて、竜頭の取り付け部分の加工や裏蓋のねじ部の形状に若干の違いがあるため同じに見えるものを買いそろえてもパーツに互換性は期待できないのが不思議なところ。
今回はケースに合わせ巻真をカットしますが、この巻真を「見た目の同じケース」で使えるかどうかも今のところ分かりません。
巻真を適正な長さに加工
先に未加工の状態で巻真の長さを計ってみたところ約21.7mm。
このノーマルな長さのものを竜頭に仮付けして文字盤と機械が入ったケースに入れてみました。
竜頭はねじ込み式でスプリングを内蔵しているため、竜頭の頭を押し込んだ状態でケースとの隙間を計ります。
なお、この手法はネット上にある先輩方のやり方を参考にしての方法で、理屈から考えても信頼できる手段ではないかと採用していますが、測定値はケースや巻真の個体ごとに依存するものと思われます。
このリューズを押し込んだ時の隙間の値と同じ長さ(若干余裕を見る)を切り詰めればケースに適合した長さの巻真に仕上がることになります。
巻真の切断にはニッパーを使い、丁度ではなく1mm程度長めに残せるようにカット。
この約1mm分をケースに仮組みし合わせながら地道に削て行くというやり方です。
調整による長さの基準は、竜頭を秒針停止できる時刻合わせのポジションまで引いた状態から押し込んでみて、パイプに干渉することなく手巻きが可能でリューズも最後まで締めこめることです。
※長さはケースやリューズの形状により個体ごとに異なります。
竜頭がパイプにあたっても手巻きが可能な場所まで押し込めない場合は短く削りすぎ(切りすぎ)ているので失敗です。
丁度良い長さに加工できたら竜頭に接着しない仮組状態のままで時刻合わせや手巻きなどをしてみます。
問題がなければ接着剤を使って巻真を竜頭に固定します。
ロックタイトの263番を使いましたが「高強度タイプ」と書かれているので後で直しは効かないものと覚悟して接着しました。
ケースに密着できた竜頭
ケースにピタリと合わせられた状態に仕上がったのがこちらです。
巻真さえ適正な長さに調整できれば、あとは4R35や7S26でも使うことができて文字盤もサイズが合えば純正品を移植可能です。ただ3時位置竜頭で大きさが共通の文字盤を使った時計といえば今のところダイバーズしか持っていないのとダイバーズの文字盤は小さ目のケースに似合わないので純正流用はなしかと考えています。
今回のような長さを調整するために巻真をカットする作業はこれまでに何回か挑戦していますが、ムーブメントに付属している1本だけを使って成功したためしがありません。
これは髭ゼンマイの扱いと同じく何度も繰り返してコツをつかまないとできないようです。
そして、失敗を繰り返してきた分の補充としてNH35用の巻真を大量購入しました。
過去の失敗はいずれも最初にニッパーを使い長く切り過ぎたものを、再度切り詰めたところ短くしてしまったというものです。
これをやらないためにも、小さめの卓上グラインダーが欲しいのですが、自宅には時計以外にもDIYのために買い集めた工具がたくさんあるので当面最適な環境は整いそうにありません。
巻真か巻き芯か
今回、ケースに見合う長さに加工した巻真ですが、今までまきしんという用語をページを編集する際に「ひらがな」から漢字に変換すると「巻き芯」と出ていたのでそのまま入力していました。
気になってはいたものの、時計屋さん情報で調べてみたところSEIKOの4R35(NH35)では巻真という表現が正しいようです。
英語ではWINDING STEMという用語になっていました。
そんなことから、今のところは巻真という呼び方で統一して、今後メーカーによるなど別な情報が確認出来たら改善していければと考えています。
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