使ってみて分かった格安スマートリングの基本性能

ライフログを取得可能なスマートリング 時計用の工具と関連機器

メカニカル指向の時計好きはライフログ取得のために常にスマートウォッチを腕つけることに、ある種の苦痛を感じることは否定できない事実のようです。

そんな気持ちと向き合うことを避けスマートウォッチを使い続けた結果、自分の中で構築されたこの仮説はある時期を境に確信に至ることになりました。

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手頃な価格のスマートリングを試してみる

「もうスマートウォッチを使いたくなくなった」とは言っても、一定の期間にある種類のデバイスで自分の健康に関するデータが取得できたことは便利なことです。

もちろん、正確性や信頼性から目安としてしか使えないデータではありますが、何もないよりマシなのは山中に入ったときの自分の位置データに少し似てるかと思います。

スマートウォッチの使用頻度は減らしたい。だけど何かしら活動量計的なものは欲しいという悩みに陥ってしまったわけですが、そこで有効に使えそうなのが機械式時計と同時に身につけていても違和感がないスマートリング。

手動で入力した歩数は時計に表示されない

ライフログが取得できたスマートウォッチ

しかし、現状で製品情報が豊富で安心して使えそうなスマートリングは値段が高価で、使用するアプリも独自のものなので自分が使ってきたスマートウォッチで取得されたデータと同時に運用ができません。

ただし、そうは言ってもスマートウォッチを常時使い続けることが自分の有効な時間を生かし損ねることになるという時計好きな者として見過ごせない事実でこのまま放置はできません。

スマホとデータ同期できるスマートリング

そこで当面の対策として選んだのがネット上で見る価格が手ごろなスマートリングということになります。

この手の製品には、「値段なりなんでしょ?」という印象がつきまといますが、製品が出回るようになって販売サイトの評価も数が増えてきた頃なので自分でも使ってみることにしました。

お試し用デバイスの調達

表面のデザイン

試しに購入したのはブランド名さえよく分からないけどデザインだけはそこそこといった感じの色がシルバーのスマートリング。

装着したスマートリング

購入の際に悩んだのはサイズでしたが、着け心地はまあまあといったところです。

指輪の内側

今回選んだモデルは本体に厚みがあって、指に装着した見た目はやや大きめなファッションリングという感じですが、他人の指など誰も気にならないのではと思います。

内側に見える基盤のパターン

内側に仕込まれた基盤はパターンが見えるように透明に加工されていて下地が黒です。

充電中は赤いランプが点灯

充電中のスマートリング

本体には説明書と短い充電ケーブルが付属していて充電中は赤のランプが点灯し充電が完了すると緑に切り替わります。

説明書は日本語表記ではありませんでしたが、中身がそれほど濃いものではないのでこの辺は妥協できる部分です。

本体の機能とスマホアプリ

充電が完了したところで、指定の専用のアプリ「JYouPro」をPlayストアからインストールして、Androidスマホとリングを接続します。

アプリで取得できるデータは、歩数、心拍数、睡眠時間、血中酸素濃度です。

ランニングやウォーキングなどの運動計測はスマートリング本体ではなく、スマートフォンのGPS機能を使うのでデバイスの機能とは無関係。リング側にGPSが搭載されていない点は販売サイトにも説明が載っていました。

早速心拍数のデータを確認してみようと画面をタップしてみると、中央に「開始」というボタンが確認できます。

ここで分かったのは、この格安スマートリングはスマートウォッチのように常時心拍を計測するのではなく一定のタイミングで計測を実施するということ。

アプリを起動した際に表示される心拍数はリアルタイムの数字ではなく前回の測定値ということになります。

リアルタイムの心拍数を知りたいときは、この画面上にある開始というボタンをタップすることになります。

なお、自動で取得できる間隔は15分、30分、45分、60分に限られ初期設定では60分間隔で測定するようになっています。

心拍数のデータ

24時間連続して取得できた心拍数のデータ

試しに装着していた期間中スマートリングは日中は外していることがあったのと、アプリでのデータの取得そのものが不安定なこともあってたまたま連続して取れたデータが上記の画像です。

血中酸素についても手動での測定になり、こちらは自動取得機能がありません。

このスマートリングで運動計測、いわゆるアクティビティの計測というのは期待できないのが事前の下調べで分かっていましたが、歩数の取得はスマホを持ち歩いていなくてもリング単体で測定できるかが気になるところでした。

そこで、アプリをインストールしたスマホを自宅に置いたまま外出し街の中を散歩してみました。

自宅へ戻りアプリを起動してみると、歩数についてはしっかりと記録されていました。しかも距離まで出ているのですが、アプリ上に歩幅を設定する項目がないので適当な数値を使って割り出しているものと思われます。

アプリに表示した歩数データ

記録された歩数のデータ

電卓で計算してみたところ歩幅は約77cmで設定されていると思われます。平均的とされる値と比較しても大股ですが、この歩幅の補正は残念ながら出来ない模様です。

そして、気になる睡眠のデータは次の通りに取得されました。

睡眠のデータ

寝入りのタイミングや睡眠の質も15分から1時間という大まかな刻みで測定または判定している模様です。

時計タイプと比べればデバイスに盛り込まれた機能に違いを感じますが、小さなバッテリーを長持ちさせるにはスマートウォッチより心拍数などの測定頻度を極力減らしているものと思われます。

ショップのレビューなどで数値がおかしいとか評価されているのは、こうした機能に過剰な期待をした結果ではと思われます。

その点を考えれば、機能そのものを総合的に見るとそれなりに役目は果たしているとも判断できます。

時計好きがスマートリングに寄せる期待

今回試しに使ってみたスマートリングは、ネットで数千円で販売されているものです。

スマートウオッチとの大きな違いは、GPSが組み込まれていないことと心拍数の計測がスマートウォッチでは常時計測されるのに対して、安価なスマートリングでは指定した一定の間隔で心拍が計測されそれ以外の時はセンサーが動作していないという点です。

今回試したスマートリングは指定間隔ごとにセンサーが動作すると隙間から光が漏れて、これが結構目立ちそうで人によっては気になる場面が多いのではといった感じです。

スマートウォッチを常時身につけたくないとはいっても、ランニングやウォーキングなど明らかに体を動かすための運動に専念する時間には装着を拒むほどではありません。

そうした特別な運動の時以外は、スマートリングで済ませたいということで、その場合デバイスに要求されるのは歩数と心拍数、睡眠時間の計測で充分と考えます。

個人の評価による部分ですが、私自身はそうした使い方であれば今回ためしたデバイスの基本性能で充分だと考えます。

残る課題は、すでにデータが蓄積されているアプリを共通で使えるデバイスであることですが、これは使用してきたスマートウォッチと同じメーカーからスマートリングがリリースされなければ解決は難しいでしょう。

ユーザーが他社で出している機能で充分と判断しても、先駆者的な立場の大手ブランドとしては1歩前進した性能を掲げることができないとマーケティングなどの戦略に力を入れにくいなど諸事情はありそうです。

そんなスマートリングですが、モデル数も少なく市場そのものが未だ過渡期であるとすればこの先もっと話題性に富んだ展開が期待できるのかもしれません。

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