以前に交換に失敗しているサードパーティー製(社外品)のリューズパイプでケース側に入る雄ネジのネジピッチを調べるため、細目ネジのタップを用意して規格が合うかどうか実際に検証してみることにしました。
現在、一般的に出回っている国産時計の竜頭パイプ(チューブ)は、修理対応が出来ずねじ込みリューズのネジ山が損耗してしまったら、ケース交換か時計本体が買い換えになるようです。
※当ページに掲載している純正パーツ以外の流用は趣味の範囲のもので実用的ではなく有効な時計修理の手段ではありません。
M3×0.35(細目ネジ)のタップを用意
前回、リューズパイプの交換を試みたときに使ったのはM2.6サイズで一般に売られているピッチが0.45のタップ。
それより細目ということで今回用意したのはM3×0.35ピッチのタップです。下穴や仕上がりが太くなりますがこのM3×0.35でテストしてみることにしました。
ホームセンターなどで売られているタップやダイスでは、ピッチの狭いものを見かけることは珍しく特にM3という細いサイズのものはネットでも販売数は少ないようです。
ねじ切り用の工具だと間違えて購入したときに取り返しがつかないのと、そもそも需要が少ないものではないかと想像します。
私自身もここ最近扱った細目ネジでは、M10の1.25ピッチのものをボルトとナットのセットを購入していましたが、これより小さいサイズだと在庫として店舗に置いてなかったようです。
余っているナットに穴を開けネジ山を切る
今回も時計ケースを使い雌ネジを切りたいところでしたが、あいにく壊れた時計というのが手元にはありません。
適当な厚みのある金属の板なども持ってなく、しばらく考えて思いついたのがM10~12くらいのサイズのナットが余っていたので使うことにしました。
時計ケースの代用としては厚みがちょうど良い感じです。
2.5mmのドリルで穴開け
M3×0.35の下穴サイズを調べてみると2.65mmと出てきます。
手持ちの2.5mmのドリルで穴を開ければちょうど2.6mmくらいになるでしょう。
ボール盤ではなく手持ちのドリルを使うので、へたすると2.8とか3mm以上になるのでそちらのほうが心配。
最初に1.5mのドリルで下穴を開けたあとに2.5mmで仕上げています。
タップを立てる
ナット横面に穴を開け終わったら、いよいよ雌ネジを切る作業に入ります。
タップを取り出すために入っていたケースをよく見ると「先」と書いてあります。
1本だけで売られているタップの種類など確認したとがありませんでしたが、特に気にすることなく中身を取り出してみました。
本体の方は本当に細目のタップなのか気になり規格を確認してみると、0.35の数字は確認できましたが本体には「Ⅲ」の記載が見えます。
ケースには「先」と書いてありましたが本体には3番の書き込みがあり、どうやらこのタップは上タップの模様。
細い穴にピッチも細目で、それが最初から上タップで加工ということで、ここで初めて少しのプレッシャーを感じることになりました。
タップを立てるときは、単純にねじ込まずに戻しながら進むのが基本ですが、今回はより小刻みに回して戻してを繰り返しネジを切っていきます。
時間をかけて作業を続けた結果、無事に細いタップを折ることなく仕上げることができました。
ナットに作ったねじ穴にパイプを入れてみる
ネジ山ができたナットの穴に前回使ったのと同じリューズパイプを入れてみます。
少し緩いように感じますがネジのピッチは合っているようです。
リューズを付けてみるとピッタリと入りました。
パイプ(チューブ)をねじ込むとき緩く感じたのは、パイプに施された雄ネジの仕上げが粗いせいかと思いますが少々気になることがあります。
M3より細いM2.5でも0.35ピッチのタップというのが存在するようです。
ここで疑問に思ったのは、ネジのピッチが0.35で緩く感じるならワンサイズ下のM2.5×0.35が正解なのではということです。
雌ネジのほうは上タップで完全にネジを仕上げているので、雄ネジの工作精度が低ければ緩いのは当たり前ですが、本当にそうなのかはM2.5のネジ山でもテストしてみないことには分かりません。
結果として、今回も煮え切らない内容にまとまってしまいましたが、試行の過程でデータが多いのは良いことと前向きに受け止めたいと思います。
ちなみに前回パイプが斜めに固定されてしまったダイバーズは、そのまま外れることなく原形を保てています。
おすすめ記事