どこかの売り出しイベントのようなタイトルをつけさせていただきましたが、クォーツ時計のメンテナンスとしては少々手間がかかりそうなのがパーペチュアルカレンダー機能がある時計の電池交換です。
電池の交換後に正確に日付を設定できたかどうかが「うるう年」の3月1日の朝を迎えなければ分からないと言ったら心配し過ぎかもしれません。
しかし、来るべきして訪れるせっかくの2月29日を有効に生かすため新しい電池への交換と日付の設定を実施することにしました。
さっそく時計に入っているボタン電池の種類を調べてみることにしましょう。
※当ページで解説している日時の設定は手元にある時計で確認できていますが、製品ごとに操作後の動作や設定の適用状態に違いがあるかもしれません。
黒赤デザインのクォーツ時計SNQ097で使用されるバッテリー
今回、電池交換の対象となる腕時計はSEIKOのSNQ097(裏蓋への記載は6A32-00B0、ダイヤル下には6S32-00TB)というパーペチュアルカレンダー機能を搭載したモデル。
ブラックの文字盤に赤の秒針が個性的な時計です。
電池交換には専用の工具が必要ですが、過去記事に掲載している工具で対応できました(時計の状態によっては本格的な工具が必要)。
スクリューバック式の裏蓋を開けると、11~12時付近の位置に小さなボタン電池が組み込まれているのが見えます。
電池を押さえているプレートは左上の爪を押し開くことで外すことができます。
使用されていたのはSR927SWというボタン電池。
電池を新品に交換した後は基板にあるACと電池のプラス極をショートさせます。Cal 6A32はACの文字が見えにくいですが画像の右下付近の位置です。
電池交換が済んだら裏蓋を閉じて時刻とカレンダーの設定に移ります。
なお、6A32の電池の寿命は約4年とのことです。
時刻とカレンダーの設定
Cal 6A32の時刻設定は通常のアナログウォッチの同じ方法で調整が可能です。
秒針が12時位置に合わさった状態で竜頭を2段引いて現在時刻に合わせたあとに竜頭をもとに戻します。
合わせた時刻が午前か午後かを把握するために日付を一日分送ってから時刻合わせをしたほうが分かりやすいかと思います。このときカレンダーの数字(日車)が斜めになっていても後の操作で微調整が可能なのでそのままにしておきます。
※以降カレンダーの調整に係る操作に移りますが、カレンダーの調整は機械式時計の日付合わせと同じく日付が切り替わる時間帯を避けて行わなくてはなりません。Cal6A32では23時~1時までの間に日付を設定した場合、翌日に日付が切り替わらない可能性があります。
6A32の説明書(pdf)
https://www.seikowatches.com/jp-ja/-/media/Files/Common/Seiko/instructions/Japanese/6/6A32/6A32.pdf
秒針とカレンダーの位置調整
現在時刻を設定し終えたところで、パーペチュアルカレンダーの年月日を設定する前に秒針とカレンダー表示用の日車が正確な位置にあるかを確認し調整を行います。
1、秒針の調整
最初に竜頭を1段引きます。
次にボタンを2秒長押しします。
秒針が回転しはじめて12時の位置にとまりますが、12時の位置とは異なる場所でストップした場合には竜頭を回して12時位置に合わせる必要があります。
今回用いた個体(SNQ097)では6時位置付近でストップしたので調整が必要でした。
2、日車の調整
秒針位置の調整が済んだら、もう一度ボタンを押します。
今度はカレンダー表示用の日車が動いて「1」で停止します。
ここでも、リセットにより1とは別の数字でストップした場合は竜頭を回して「1」に合わせます。
竜頭を素早く2回送り分回転させることで早送り(右回し)、早戻し(左回し)が可能とのことですが少しコツが要りそうです。
もし数字が四角い表示窓からずれてしまうときは、早回しではなく地道に回し続け数字が水平になるまで微調整しなければなりません。
日付、月、年を設定
秒針と日車の調整が済んだら、カレンダーを日付、月、年の順に調整していきます。
1、日付の設定
引き続きボタンを1回押します。
秒針が9時位置に移動し、カレンダーが現在設定されている日付を表示します。(バッテリー交換によるリセット後は「1」を表示)
日車の回転が停止した状態で竜頭を回して正確な日付に設定し直します。
今回は26日に合わせました。
2、月の設定
次に設定モードを変更するため、もう一度ボタンを押します。
秒針が10時位置に移動し、カレンダーは設定されている月を表示します。(リセット後には1が表示される)
ここでも日付調整と同じ要領で竜頭を回して月を調整。画像は2月に合わせたところです。
3、年の設定
年の設定は、メーカーの説明書にある確認表に従いカレンダー表示を合わせます。
再度ボタンを押して秒針を11時の位置に移動させます。この時計ではリセット後のカレンダー表示は2005年の「5」が表示されました。
今年(ページ作成時)は2024年ですので日車を24まで回して合わせます。
参考までに2024年から2036年までの設定は次の通りになります。
西暦設定用の確認表
カレンダー表示 | うるう年 | 西暦 |
---|---|---|
24 | うるう年 | 2024 |
25 | 1年目 | 2025 |
26 | 2年目 | 2026 |
27 | 3年目 | 2027 |
28 | うるう年 | 2028 |
29 | 1年目 | 2029 |
30 | 2年目 | 2030 |
31 | 3年目 | 2031 |
4 | うるう年 | 2032 |
5 | 1年目 | 2033 |
6 | 2年目 | 2034 |
7 | 3年目 | 2035 |
8 | うるう年 | 2036 |
6A32の説明書に記載してある「年確認表」だけだと2017年から2027年までが省略されているので少し戸惑うかもしれません。
最後の項目の年の設定が済んだら竜頭を元通り押し戻して終了です。竜頭を押すと秒針が回転して設定した現在時刻と日付を表示されます。
あとは4年に一度の2月29日を待つ
一連の設定操作で間違いなく年月日を設定できれば、パーペチュアルカレンダー機能のあるこの時計はうるう年の2月には29日でもカレンダーを正確に表示してくれることでしょう。
なお、最初のボタン2秒長押しのあとに竜頭を回さなければ設定した内容の確認が可能です。
最後の年の設定後に竜頭を戻さず再びボタンを押すと最初の秒針位置の確認へ戻る仕様になっています。
ボタン操作による一連の流れ
※最後のモードで竜頭を押さずにボタンをもう一度押せば最初の長押し後(秒針位置の確認)に戻る
今回、この時計の電池交換について思い出したのは先週のこと、たまたま今週中にうるう年の2月末が訪れるとあって急遽ボタン電池SR927SWを用意し時計を復活させるに至りました。
実際に作業をしてみて、要領さえつかめれば交換時期をうるう年にこだわる必要はなさそうだというのも分かりましたが、眠っていた時計を目覚めさせるには良い機会だったと思います。
あとは、設定が済んだSNQ097で今月の最終日には29日が表示され翌日には1日に戻るのが見れることでしょう。
※その後、数日後に2月29日から3月1日への切り替わりが確認できました。
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