標準でNATOストラップ仕様の「ハミルトンカーキ メカニカル」が欲しいと思った理由はETAの手巻きムーブメントが搭載されているモデルだったから。
当初、なぜこの時計には布ベルトが当たり前なのか不満だったのですが、実際に手首に巻いてみた感想は金属ブレスや皮ベルトにはない特別なものでした。
布ストラップの印象
手巻きノンデイトだからと飛びついたハミルトンのカーキETA2801搭載最終モデルはNATOストラップを採用した時計。
カーキはNATOベルトが当たり前のミリタリーウォッチ。
これしかないし「しょうがないな」と腕に巻いたときの意外な心地よさは衝撃的でした。
もともとは、袖口の上からも巻くような使い方をするとか聞きますが、直に腕に巻いても時計本体の裏蓋の金属部分が肌に接触しないため付け心地がソフトです。
モノが純正でしたので素材も上質だったためでしょう。
NATOストラップは見た目がダサイという評価もありそうですが、そう思っている方は一度腕に付けてみるとNATOストラップに感じるものへ変化があるかも知れません。
評価が変わったもう一つのきっかけ
映画007シリーズの「スペクター」(2015年公開)の劇中でジェームズボンド(ダニエル・クレイグ)が身につけていたシーマスターはNATOストラップでした。
物はペラペッラの布で黒とグレーのデザインのNATOストラップはお世辞にも優れたデザインではないのですが、これをダニエル・クレイグが腕に巻いていると格好良く見えて不思議でした。
たかが映画の話ではありますが、007の中でジェームズ・ボンドの時計がNATOストラップだったことは、私のNATOストラップへの評価を少しばかり上げました。
そんなことを思い出す度に、たまにはNATOストラップも良いかなという気持ちになります。
布ストラップで過ごしたい時間
時計好きではありますが、かなりの汗かきである私は夏に常用する時計のベルトをほぼステンレス製の金属ブレスに決めています。
皮ベルトなどは一夏過ぎると自分で頭を抱えってしまうほどで、夏場の発汗への耐性と装着感を考えれば普段の選択肢にはなりません。
汗を吸い込んで不快な感触になるのは布ベルトも同じですが、夏の時期を除けばその装着感は不快なものではありません。
ソフトな着け心地とカジュアルな服装にも併せやすい布ストラップは晩秋から初冬にかけての時期におすすめです。
ハミルトンのカーキでより本物志向な9415Aなどに使われるNATOストラップではベルトが二重に重なっている部分の両端に金属が使われていますが直接肌に触れることがない仕組みになって時計本体やこれらの金属部に触れることによるヒンヤリ感を抑えてくれる作用があります。
ケース径が38mmモデルH69429901の純正ではこの金属の輪が皮でできていて手巻きによるケースの薄さの効果もあってか重量感も感じません。
こうなると時計を身につけているというより手首にフィットしたシャツの袖口に近い感触です。
NATOストラップの外見から受ける印象には個人差があると思いますが、格好良いかどうかは別にして身につけている本人にしてみれば手首に機能性のよい手巻き時計がソフトな感触で載っているだけの着け心地と言えば分かりやすいでしょう。
寒さが増してくるこれからの季節でもモノによってはフワフワした暖かい着け心地がする布ストラップは季節の移り変わりに優しく寄り添ってくれる快適アイテムにもなりそうです。