6R15Cオーバーホールの主要工程【駆動系パーツの組み立て】

テンプを入れる メンテナンス

今回取り上げる機械の組み立ては、地板とパーツの洗浄が済んで操作系のパーツが取り付けられた状態からのものです。

その辺の詳しい事情は前回の解説ページでご案内していて、その内容に理解がある方に向けての解説になります。

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駆動系パーツの組み立て手順

ここから完成までの手順は一部を除き分解とは逆の順序で行っていきます。

2番車と筒カナの取り付け

2番車を差し込む

最初に2番車に注油してから地板の真ん中に差し込みます。

なお、注油についての詳細は他のパーツも含めテクニカルガイドを参照されるのが最適かと思います。

2番受の取り付け

続いて差し込んだ歯車に2番受を被せてネジを締めます。

筒カナの取り付け

ここで、一度文字盤側を向けて筒カナをセット(根本まで確実に入れる)してから再び表を向けます。

1番受への注油

3番車、ガンギ車の穴石に注油

1番受への注油箇所はマジックレバーの取り付け部にある軸部分とガンギ車、3番車の受石、それから1番受下座の中にある歯車です。

1番受下座の中に注油

ネジ止めされた下座についてはネジを外さずに緩めて、そのネジを軸にスライドさせて注油が出来ます。

また4番車は歯車のホゾに注油が指定されていますが7Sとかだと石が入っているホゾ側に注油する方法もあるようです。

輪列を組んで1番受をセット

1番受の注油が済んだら、関連するパーツを配置していきます。

外した順に並べる

取り外した順に並べたパーツ

ここも外した順の逆で問題ありませんが、先に入れておいて間違いないのは3番車と香箱車。

私の場合コハゼを忘れやすいので香箱車と併せて早い段階で置くことにしています。

3番車を取り付け

入れづらく安定しない3番車

また3番車を入れるときホゾ穴が2番受に隠れて見えないので、ここは定位置に入ったときの収まり具合や感触で覚えるしかなさそうです。

輪列を並べた状態

元通りの配置に並べる

歯車の配置が済んだら事前に撮影しておいた記録画像を見ながらチェックして1番受を被せます。

1番受を乗せた状態

この輪列受けの取り付けは慣れれば簡単ですが、コツを覚えるまでは何度か繰り返すことになるかもしれません。

ザラ回し

香箱車を軽く突いてガンギ車までの動きをチェック

ぐらつきがなく安定して配置できて、香箱車を少し突いただけでガンギ車が回るのを確認(ザラ回し)できたらネジを1本ずつ仮締めしていきます。

1番受が取り付けられた6R15C

本締め前にも何度かザラ回しを繰り返してから3本全てしめます。

2番車の差し込みから始めてここまでの手順で、地板部分を含めて注油漏れがないか確認しながら行います。

次のアンクル受けの設置もそうですが、これらの作業は慎重すぎるくらいで丁度良いでしょう。

アンクルとアンクル受の取り付け

アンクルをセット

続いてガンギ車の隣にアンクルを置きます。

アンクル受の取り付け

ガンギ車のに噛み合うようアンクルを定位置に配置できたらアンクル受けを被せます。

アンクル受のネジを締める

ここでも、受がぐらつくことなく安定して置けた状態で1本ずつ慎重にネジを締めていきます。

角穴車の取り付け

香箱車のホゾの形状に合わせる

香箱車の軸の形状に合わせる要領で角穴車を取り付け、角穴ネジを締め付けます。

角穴ネジを締める

ネジの頭が歯車に着座したあとは歯車を押さえながらネジを最後まで締め込みます。

テンプの取り付け

6R15C用のテンプ

組み立てにあたってテンプは新品を使うことにしました。

受けに取り付けたテンプ

テンプ受けへテンプを組み込みます。

歪みの全くない新品のヒゲゼンマイは見ていて気持ちがいいです。

角穴ネジでゼンマイを巻く

角穴ネジを回してゼンマイを巻きあげる

テンプを入れる準備ができたら角穴ネジを締める要領で香箱車のゼンマイを巻きあげます。

テンプを入れる

組み立てたテンプを地板に取り付けます。

テンプの取り付けが済んだ6R15C

このテンプの入れ方にはコツが要りますが、ここ最近になってようやく楽に入れることが出来るようになりました。

時計DIYオーバーホールの難関、テンプの入れ方のコツ【セイコー6R、4R、7Sの場合】

テンプの動きが確認できたら受石に注油してセットします。

自動巻き輪列受の取り付け

最後に残りの歯車一つと自動巻き輪列受を取り付けます。

2番伝え車の取り付け

ここのマジックレバーのツメがかかる歯車は入りづらいですが、正確な位置に置けていれば一度巻真を巻き上げとは逆方向(または巻き上げ方向)に少しだけ動かしてやると入るときがあります。

このとき回しすぎると歯車を弾いてしまうので注意が必要です。

自動巻き輪列受のネジを締める

受のネジを2本を締め込んでからリュウズでの巻き上げとマジックレバーの動きをチェックできたらあとは振り角に問題がないことを確認してから文字盤側を仕上げるだけです。

自動巻き輪列受を取り付け

これで、駆動系のパーツは元通り組み立ては済んだことになり、動きに問題がなければあとは文字盤側の組み立てを残すだけです。

ここまでパーツを配置したあと該当するネジを締め込んだ段階をそれぞれ一区切りとして解説してきました。

外したネジごとに並べたパーツ

NH35Aでのパーツ保管例

6Rに限らずムーブメントの分解と組み立てには、このように関連パーツとネジを一まとめにして段階ごとに区切って保管しておくと分かりやすく中断も容易です。

タイムグラファーを使い動きをチェック

タイムグラファーでチェック

タイムグラファーを使ったチェックは画像ではいい感じの数字が出てしまっていますが、振り角はめいっぱい巻き上げたところでたまたま運よく表示された値です。

このあと文字盤下で計測してみましたが、時計として実用するには厳しい姿勢差でしたので、また時間をみつけて組み直しになります。

長いこと精度を出せないまま放置していた6R15Cは今回のオーバーホールで実用レベルに仕上がると期待していましたが今一つの出来でした。このムーブメントとはまだまだ格闘しなければならずメンテナンスに引きずられる長い付き合いになりそうです。

6R15オーバーホールの流れ

6R15Cでカレンダー周りの分解と組み立て

6R15Cでメインの駆動系パーツを分解

6R15Cで操作系の分解と組み立て【巻き上げ、時刻合わせに係る部分】

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