キネティックオートリレー「5J21」の電池交換

キネティックと言えばSEIKOが生み出した発電式のクォーツ時計。キネティックも種類が分けられるらしいのですが、今回取り上げるのはオートリレーといわれるタイプになります。

腕時計の電池交換については何度か経験がありますが、SEIKOのキネティックのバッテリー交換は普通のクォーツより少し難しいようです。

2秒運針になった5J21キネティック

中古で取得しやすい価格帯になっているSEIKOのキネティックオートリレー5J21を入手しました。

ブレス交換済みの5J21キネティック

付属の純正ブレスレットのバネ棒に不具合があったため、手元に届いてすぐブレスを交換してしまいました。

予想はしていましたが、内蔵蓄電池の容量が少なくなっているようで少し振っただけではすぐ2秒運針の状態になります。

普段使いに対応できるよう蓄電池(キャパシタ)の交換をすることにしました。

なお、以降の交換作業については自己責任で行うものです。メーカーでもユーザー側での交換を推奨しているものではありませんので実際のキャパシタ劣化については時計屋さんへご相談いただくことになります。

バッテリーの型番

ムーブメントの型番に「5J21」と入るキネティックのキャパシタにはSEIKOの「3023 24X」という型番のパーツ(蓄電池)が使用されるようです。

一般のボタン電池とは異なり充電が可能であるのと、ムーブメントに合う端子が電池に付いています。

またWeb上の情報では多くの場合、呼び名が電池とかバッテリーではなくキャパシタとなっています。

用途が蓄電池なのでキャパシタと呼ぶのはどうかと思いますが、一般的にそう呼ばれているのは間違いなさそうです。

単なるボタン電池ではなく、充電が可能で基盤直付けまたは今回のように専用端子が備わっているとキャパシタと呼ばれる場合が多いように感じます。

作業に必要な工具

キャパシタ交換の前準備として必要なのが、裏蓋を開けるためのスクリューバックオープナーとマイナスの精密ドライバーです。

今回、事前に-0.6というサイズを準備しましたが、先の幅はもう少し広いものでないと適合しない模様。緩すぎてネジの頭に少し傷が付きました。

結局、以前にセットで購入した精密ドライバーの一番小さいものが役に立ちました。

交換手順

新しいキャパシタと工具が揃ったら交換作業に入ります。

裏蓋を開けたKINETICAUTORELAY

まずは、オープナーを使い裏蓋を開けます。

古いキャパシタの取り外し

振り子を外した5J21

中央のネジを緩め振り子を取り外します。

キャパシタの固定ネジを外す

金属プレートを押さえている固定ネジ2本を外す。

金属のプレートを外す

プレートとキャパシタ間には薄いフィルムが挟んであるのでこれも取ります。

樹脂フィルムと古いキャパシタを外す

金属プレート、樹脂フィルム、キャパシタの取り外した順に並べてみました。

左上にあるのがケースに入った新しい3023_24X。

元通りに組み立て

新しいキャパシタを設置

古いキャパシタがあったスペースに新しいものを設置しムーブメントを元通りに戻していきます。

フィルムとプレートを設置

フィルムと押さえのプレートを元通りに整えるのに微調整が必要でした。

プレートのネジを締め付け

この小さいネジを元通りに合わせるのにやや苦労しますが、ねじ穴にフィットすることができればあとは締め付けるだけです。

締め付けには適度なトルクが必要ですが、次の交換の時にはムーブメント自体のオーバーホールが必要でしょう。

振り子を元に戻した5J21

ローターを中央の軸にはめ込み中央のネジを元通りに戻すことができれば裏蓋を締めて完成です。

ローターの歯車と合わさる軸

上はローターを戻す前の画像ですが、赤丸で囲んだ部分はローターの歯車と噛み合っている軸です。

ローターの回転軸へ元通りに戻せば、ここの歯車同士が上手く噛み合うようになっていますが精密部品ですので組立の際には注意するに越したことはないでしょう。

オートリレー機能が復活

新品のキャパシタ(蓄電池)に交換が住んだキネティックオートリレーは、2秒運針から正常な1秒刻みの運針に戻り新たに時を刻み始めました。

キャパシタ交換後のキネティックオートリレー

正常に動き出した5J21-0A10

KINETIC_AUTORILAYの特徴は、時計を持ち歩かない時間が72時間を超えると、針が自動停止し時計がスリープ状態になります。

再び振り子に振動が加わり発電が再会されると、時計表示も現在時刻へ復帰するという独自の機能を持っています。

数あるSEIKOのKINETICの中でも、この自動停止によるスリープ機能を備えているのはAUTORILAYだけのようです。

なお、このスリープ機能は竜頭を一段引いてすぐに戻すと「強制スリープ」として手動で実行できるようになっています。

なお、この後に登場したモデルでは、キャパシタの容量の改善や小電力化もあってスリープ機能を持っていません。

カレンダー機能を持たない「5J21」キネティックオートリレーはデザインもシンプルでとても気に入ってますが、同じ機能を持ったキネティックは後にも先にも5J21のみしか登場していません。

5J21はムーブメントとして大変古いものになってしまったので、故障時にメーカー側での部品保有が期待できないことでしょう。どうか長持ちしてほしいものです。