時計を組み立てる工程で文字盤に針を取り付けるにはピンセットで針を持って剣押さえで押し込む方法が一般的かと思います。
というのも、ネットで見かける時計オーバーホールの動画なんかで、ベテランっぽい人がやっている方法がこのピンセットで針を持つやり方なので、こうやるもんだと思い込んでいるのですが何故か自分でやってもうまくいきません。
秒針をピンセットで持つと針が曲がる問題
冷静になって考えれば、ピンセットで秒針を押さえたまま器具でムーブメントに押し込むのですから剣押さえで押し込む段階でピンセットの固定を緩めてないと針が曲がりやすいのはあたりまえ。
この問題、私はわりと初期の段階で気が付いたのですが、この作業で要求されるテクニックというか力加減を身につけるには手持ちの秒針と練習時間がいくらあっても足りないと判断しました。
解決策として考えたのは秒針を入れる際にはピンセットを使わない方法です。
もともと秒針をピンセットで持つというのも針に傷が入りやすいしどうなのかと思っていたところではあります。
汚れや油分の除去に使うロディコを使ってみる
この取付けにピンセットを使わない代わりに秒針を持つ(定位置に保つ)方法に使ってみたのが、文字盤などの汚れや油分取りに使うロディコという粘土状のものです。
文字盤やムーブメントなど、どの辺までが使用範囲なのかわかりませんが、針のメッキや塗装に影響がないかは心配なところです。
しかし、一番細い秒針を掴むのにピンセットでは作業性が悪くその分時間がかかり傷も入りやすいと考えます。
そんな事情からロディコを使い始め、秒針を取り付ける際にはいつもこの方法を採用していてピンセットと比較しての話ですが今のところ傷や腐食の発生は気にならない範囲です。
ここは全く影響がないとは言い切れない部分ですので素人作業でピンセットを使った場合と比べて綺麗に仕上がるがメッキや塗装への影響は分からないという表現の方が分かっていただけるかと思います。
ロディコを使った秒針の取付け
この粘土状のロディコを使った針の取り付けは、ピンセットで針を挟む代わりに細く絞ったロディコの先に秒針をペタリとつけて持つだけです。
文字盤の中央に合わせて秒針をセット。
剣押さえを使って軽く押します。ここでは完成品から外した秒針を再度取り付けているので少し押さえるだけで入りました。
この時計のムーブメントは4R35で特に分針と合わて(重ねて)取り付ける必要はなく取り付け位置はやりやすい位置で良さそうですが、ここでは分針の位置と合わせてみました。これもピンセットだとできません。
画像のように特に干渉するような傾きもなくバランスよく取り付けできました。
ケースに入れてしばらく様子を見てみましたが、風防や他の針と触れることもなくスムーズに動いています。