自動巻きなど機械式時計の時刻を合わせる際に竜頭を引くと秒針が止まってくれる便利な機能、特定のモデルではハック機能と呼ばれたりします。
この秒針停止機能はアンティークや廉価モデルの時計では備わっていないことも多いようです。
秒針を止める不都合
ビジネスモデルとして普及している機械式時計の性能には限界があるため時計の時刻を修正する際に秒針が停止してくれる機能はのはありがたいものです。
しかし、この秒針停止機能は考え方によっては煩わしい余計なお節介的な存在でもあります。
たとえば、急いで時間を合わせたいときにも、いちいち時計の運針が止まるなどでしょう。もっとも、これが気になるのは秒針位置を合わせなくてもたまたま調整しなくても良い位置にあったときでしょう。
カレンダーだけ調整したいときにも間違えて竜頭を2段引いてしまって止めるつもりのない運針をとめてしまったときもガッカリするかもしれません。
他には、秒針を止めるシステムが天真に負担をかけることが気になる場合などですが、時計の機械とはそんなもんだと割り切れるかどうかでしょう。
秒針のずれを許容できる過ごし方
そもそも、秒単位まで正確に指し示す時計が必要な生活というのは時間に追われる忙しない状態にあるとも言えるでしょう。
秒針停止が機械的に好きかどうかよりも、時計が数10秒単位でずれていても気にならない時間に余裕のある生活は理想かもしれません。
もちろん、自動巻き時計を選ぶとき秒針停止が可能であることが絶対条件だというのも有りですが、あまりにも気になってしまうようなら自分が時間に追われすぎていないか注意したいものです。
いろいろ気になり出すと、潔くシンプルな2針にしてしまいたくなりますが、秒針を省いてしまうと時計が止まってしまったことに気づくのが遅れるので大変なことにもなりそうです。
正直あれば嬉しい機能
自分としても、秒針停止(ハック)機能に関しては一般ユーザーよりの考えで「付いていたら嬉しい派」です。
ただし、上に書いたように月末にカレンダーを調整するつもりが、2段引きで良い感じに進んでいた秒針を止めてしまったときはがっかりします。
今も一昔前もノンデイトの時計というのは数的に少ないですが、不規則に訪れる月末のカレンダー日送りが面倒に思えてしまうのは、けして多忙なことが理由ではなく少数派でもないと思います。
ユーザーからそうした声が挙がらない限り、時計メーカーは機械式時計にカレンダー窓を設置し続けるでしょう。
数十秒の狂いは許容できても、丸一日以上遅れて表示されるデイト窓は直したくなります。
微少に進む秒針は気分で直すものとして、1日(3月に至っては3日)遅れるデイト表示はビジネスウォッチとしては面倒な存在でしょう。
そんな考えからも秒針停止はあれば役立つ嬉しい機能で、余計なものがなければ邪魔にはなりません。
秒針を停止させることによって、機械に負担をかけることが気になる時計ファンの方も、自動巻き時計の手巻きと同じで所有する時計が壊れるまで秒針を何回も止めるほうが大変ではないでしょうか。
機械式時計は拘りの1本だけという方なんかも、定期にオーバーホールに出すでしょうから問題ないと考えます。
もし、秒針停止機能がない機械式時計にメリットを見いだすとすれば、秒単位の時間の狂いがまったく気にならない理想のライフワークの基準や尺度にはなるかもしれません。
こちらは、時計の問題ではなく自由に過ごしたい大人としての課題でしょう。
あれば嬉しいけど無くても過ごせるようでありたい。他の何かに似ています。
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