時計の機械をオーバーホールするには文字盤側から分解していくのがセオリーな模様。
NH35Aのカレンダーリングは表面に見える4本のネジを外せば関連パーツと一緒に簡単に外すことができます。
カレンダー周りにあるパーツの取り外し
今回使用するNH35Aは、青いリューズを装着していますがローターにSIIの書き込みがあって使用頻度は少ないもののケースへの装着と使用歴があるものです。
文字盤側を向ける前に、そのローターを外してしまいます。これを付けたままだと傷つきや歪みが心配なのと置く場所によってはクルクル回転するので安定しません。
4つのネジを緩める
NH35Aでは文字盤側に4本のネジがあるので、このネジを全部緩めて外します。なおNH36Aではこの部分が曜車に隠れて見えなくなっているので、筒カナにハマっているCリング（スナップリング）を先に外す必要があり少し仕組みが異なります。
最初に上側にある押さえのプレートを外した状態で、プレートの表裏や位置関係の判別を確認しておきます。
あとは下側のプレート、カレンダーリングと関連する樹脂パーツ3つを一気に外します。このうち白の歯車一つは下側のプレート裏に貼り付いてることがあるので紛失しないよう注意が必要です。
あとは残りの筒車、日の裏車、カレンダ修正送り車Eの3つを外せば、一時的に表側を向けても落下する部品はないのでここで一区切りつけることができます。
文字盤側に筒カナと巻真まわりにあるカレンダ修正送り車が残りますが、ここではオーバーホールの手順を駆動系と切り分け体系化して理解したいとの考えから別の工程へ後回しすることにします。
組み立て時のためにチェックしておきたいポイント
今回取り外したカレンダー周りのパーツは組み立て時の最終段階の作業で元通りに取り付けることになります。
歯車の位置関係と取付け順
組み立て時に注意したい各歯車の位置関係は画像の通りです。地板などにテクニカルガイドによる注油ポイントがあります。
取付順は筒車の右に置く「日の裏車」を最初に取り付け、同じく筒車の上にある白い歯車を最後にすることを気を付ければ元通りに戻せると思います。この辺の位置関係や手順の確認がチェックしておきたいポイントになるでしょう。
カレンダーリングの取り付けは、表側で地板にテンプ受を載せ動作の確認が取れたあとに残る地味で面倒な作業ですが、表側の作業に比べれば割と単純で機械的なものです。
また、文字盤側の組み立てはノンデイトで使う場合でも押さえのために使わなければならないプレート2枚の表裏や取り付け角度などは分解の際にチェックが必要な部分になります。