4R35Bが23石なのにNH35Aは24石という不思議、この石数の違いはどの部分？

NH35Aの仕様を調べてみると石の数は24個ですが、作りがほぼ同じ4R35BのローターにはTWENTY THREE JEWELSの記載があってNH35Aより1個足りない23石の表示です。

まったく同じ機械ではなさそな2つのムーブメント、石数に違いがあるなら数えれば分かるはずですが、この石24個が組み込まれた場所をチェックするのが容易ではありません。

NH35Aにある24個の石はどこに配置されているか

NH35Aに組み込まれている石の配置をすべてチェックしてみると次の通りになるかと思います。個人で調べたものなので思い違いや見落としがあるかもしれません。

※1番受の8個のうち1つは1番受下座を外した内側にある歯車（Crown wheel）の裏にある。

参考にしたのは次のリンクにある「WatchUSeek」というサイトのフォーラムページの情報です。

このNH35Aを含め7S系と呼ばれるムーブメントでは、大まかにパーツをばらしただけでは見えない場所にある石が二つあります。

それとスプリングで固定された穴石には種類の違う2種類の石が設置されているので石を外してみないと分かりにくい仕組みになっています。

これら通常ではチェックしにくい石について詳しくみることにします。

矢印の部分に石が隠れている

1番受にある1個の石は1番伝え車を外すと確認できます。裏にあるCリングを外すして「つめレバー」と1番伝え車を外すと、そこに石が一つあります。

1番受下座を外して見える歯車

もう1か所は、同じく1番受の裏にある1番受下座の受けネジを外してプレートを外すと見える歯車に小さな穴が開いていてそこに石が見えます。一見この歯車にある穴に石が入っているようにも見えるのですが、どうやら歯車の裏に隠れている通常サイズの石が小さな穴を通して見えている模様。

歯車に開いている穴は注油用といったところでしょうか。

ここの石は、6R15のテクニカルガイドに書かれている解説に基づいて探し出したもので、表中にあるCrown Wheelというのが、この部分にあたるようです。

Crownというと竜頭を思い浮かべますがwheelとなっているのと、他の図を参照するとどうもこの小さな歯車のことを指していると解するのが自然かと思われます。

よって、1番受では表面上から確認できる6個（このうち2か所は重なっている）にこの2つを加えた8個の石があることになります。

NH35Aでは、てんぷ受、地板、1番受の3つのパーツで「押さえバネ」で固定された石が4カ所（8個）にあるのがわかります。このうち1番受は上に書いたとおり小さいのが2か所。

これらには、穴石と受石がそれぞれ使われていて表から見える4か所で計8個になります。

よって、この3つのパーツではテンプ受に2個、地板には8個、1番受は上に書いた通り8個の石があると数えることができます。

NH35Aにある24個すべての石をチェックできたところで、このうち4R35Bに足りないのはどの石なのかを探してみますが実は4R35Bでも同じく24個すべて数えることが出来ます。

※繰り返しますが、個人で数えたものですので何かしらのミスや勘違いがあるかもしれません。

では、4R35Bのローターに「TWENTY FOUR JEWELS」ではなく、なぜTWENTY THREE JEWELSと書かれているのか気になりますがこの部分は謎のままです。

4R35Bより前に製造されていた4R35Aは地板の石が7個で全部で23石。違いは香箱車の下にある穴に石が入っていません。（もともと国内向けの製品では4R35Aを使ったモデルは少数で数が多いのは4R35B）

メーカーのコメントがないので推測の域でしかありませんが、石を1つ増やしたあとも1つ少ない23石の4R35Aと24石の4R35Bを同等に扱い、中身はアップグレードさせたけど表面上は差別化をさけ4R35Bも23石として扱うよという意味かもしれません。

4R35Aと4R35Bはどちらも同じ「4R35」ですから、先に4R35Aを使ったモデルを購入した人の利益を妨げないためメーカーが配慮したと考えると納得はいく感じがします。

ということで、先の海外サイトの情報を参考にするならば4R35Bや6R15C、6R15DはローターにTWENTY THREE JEWELSと書かれていても中身は24石。

文字盤に23JEWELSの表示があるSRB033（035）などもムーブメントが6R15CまたはDなら使われている石数は24ということになるでしょう。

NH35関連