機械式(自動巻き・手巻き)時計の魅力と言えば、なめらかに動く秒針が自分だけの時間を刻んでくれるとうことと、時計という実用品であることに加え一つの完成された機械であるということではないでしょうか。
そんな機械式時計が人を引きつける要素を堀り探ってみました。
機械式が楽しい理由
自動巻きや手巻き時計などの機械式時計を所有する楽しさや、その魅力を最も分かりやすく説明すると、五感で楽しめる資質のようなものを持っている実用品であるからと言えそうです。
五感と言っても、視覚、聴覚と触覚は、その腕時計が持つデザイン性を見て楽しむこと、耳を近づければ時を刻み続ける機械の音が微かに聞こえること、時計特有の金属が放つ手触りと重圧感は十分に感じられますが、時計を味わったり匂いを感じることは難しいようです。
しかし、その足りない嗅覚、味覚の代わりに腕時計には時計でしか感じられない時の流れ、特に機械式の場合ゼンマイに蓄えられたエネルギーにより動き続ける「固有の時間」を楽しむことができます。
これは機械時計でしか感じられないものではないでしょうか。
機械を埋め込んだ装飾品
腕時計はアクセサリー(装飾品)としての存在感を持つ物が少なくありません。
世のアクセサリーと呼ばれる物の中で、機械式時計のように実用的な機械を兼ね備えているモノは他にあまり見かけません。
時を刻むという実用的な機械でありながら装飾品の魅力を併せ持ち、所有する者に喜びをもたらすのは腕時計の最大の魅力でしょう。
人気はクォーツ時計のおかげ
時計の歴史の中で、クォーツ式の腕時計が多く使われるようになってから一時期、機械式時計のほとんどが高級志向の製品になってしまったことで、あらためて機械式時計の魅力が一般に受け入れられるようになったという話を聞きます。
確かに、クォーツ時計は正確に動き、時計本体も軽くできていて使いやすいのですが、時計を身につけている喜びというのを感じづらいものです。
クォーツ時計は楽しむものと言うより、時間を把握するために無くてはならない、身につけなければならない存在なのかもしれません。
それに比べ、自動巻きや手巻きなどの機械式時計は自分が仕掛けた動力により動き続ける時間を身につけているという楽しさがあります。
所有者が動力源
自動巻きの時計は、腕に付けた自分が動き続けることで時計も時を刻み続けてくれます。
手巻きの場合も、自分がゼンマイを巻くことで自分だけの時間を表示し続けてくれ、それを簡単に身につけて持ち歩くことができるのです。
このことが、機械好き人間にとってはたまらない魅力であり、気分を高揚させてくます。
そして、ケースの作り込みや文字盤のデザインなど完成度が高いほど、それを持つ喜びも大きくなるのです。
自分だけの時を刻んでくれる
よく知られる通り機械式時計は、定期的にメンテナンスが必要になりますが、それは長く使用し続けたクォーツ時計も同じこと。
自動巻きや手巻きの時計は愛着がわくので、長く使いたくなるためオーバーホールをするというのがメンテナンスについての考え方の一つであると私は心得ています。
そして、定期的に行うOHなどのほかに機械式時計は秒単位の日差が発生するので日常的にも時間合わせを行う必要があるのですが、それも機械好きにとっては自分の時計に愛着を感じる瞬間であることでしょう。
多少手が掛かりますが、自分の仕掛けた動力により動き続ける美しく強い分身のようなものではないでしょうか。
おすすめ記事